田中将大ほろ苦い今シーズン初勝利
ニューヨークヤンキース田中将大投手が4月12日レッドソックス戦に先発。今季2度目の先発で初勝利を挙げました。
内容的には5回4安打4失点(3自責点)という少し厳しい内容の結果でした。
本人も情けないというコメントを残しました。
そこで不安材料となっている肘、肩の不安を考察します。
肩、肘が壊れる可能性がある投手という職業
野球の場合、投手への負担は野手と大きく異なります。
野手は毎試合出場が可能ですが、先発投手は間隔を開けなければ投げられないの負担がある証左です。
力学的にも、プロ野球の投手が1球投げると肘に対して
34.6Nm(ニュートンメートル)
の負荷が掛かるそうです。
その肘自体は、
32Nm
の負荷で断裂するそうです。
つまりは1球の負荷だけで肘が壊れてしまうほどの力を発生するからこそ150km超のボールが投げられるのです。
そこで疑問?
なぜ壊れないのか?
それは技術でこの肘への負荷を軽減しているからです。
ボールへ力を伝達する力を逃がすことで、肘への負担を軽減していると考えられます。
と言うものの、年間に3,000球近く試合で投げる先発投手においては、ちょっとしたきっかけで肘を壊してしまうという事態が起こる訳です。
アメリカと日本の考えた方の違い
基本的にMLBを頂点にするアメリカの野球界は、監督の次に治療チームの権限があります。
つまりトレーナーはじめ、医療スタッフからドクターストップが掛かると、試合には登板できません。
これは大学、高校も同様のようです。
一つには、アメリカは裁判大国であり、もし、壊れてしまったら、医療スタッフが訴えられるということもなきにしもあらずのため、
ストップを掛ける方向にあるようです。
また、肘に少しでも断裂があれば即手術という見極めの早さもあります。
一方、日本は、プロ野球の前に甲子園を頂点とした高校野球、大学野球と勝利が優先されるあまり、つい痛いのに無理して壊れてしまうケースがあります。
これはアメリカと違い、監督の判断がすべてに優先され、医療スタッフ側の意見が反映されにくいという事情があります。
そして、選手自身もやはり勝ちたい。
勝ちたいから無理をする。
無理をするから壊れる。
ということが幾度となく起こっています。
他方、手術に関しては、アメリカほどドラスティックに即手術ということはなく、さまざまな治療方法を試した上で、最終的に判断するという傾向にあります。
現実的にはどう対応すべきなのか?
解説者の意見を見ると、多くが自分自身の経験を持って結論づけるアドバイスに終始しています。これはいつものことですが、投げ込み信奉者は投げ込みを推奨するなど、持論で解決すると結論づけています。
まず一番の問題は、現在の野球界の進歩です。
ビデオとコンピュータの発達で簡単に動きを解析できるようになりました。
よって、動き自体もばれやすくなっています。
メジャーで長く活躍したノーラン・ライアンはじめ、グレッグ・マダックスらの時代でも移籍することで対戦相手を変えたことが長く活躍できた一因として考えられます。
ですから、ヤンキースで長年クローザーを務めたマリアーノ・リベラのような投手は希有な存在とも言えます。
そういったバレても打たれないようにするためには、星飛雄馬の大リーグボール3号ではありませんが、見えづらい、分かりづらい変則的な投法をする投手もいます。
当然ながら、星飛雄馬同様に選手寿命と引き替えに投げているという現実が日米ともあります。
そこでどうするか?
これは究極の投法になりますが、稲尾和久や江夏豊がやっていたという投げる手前の一瞬に相手の気配から投げるコースを微細に変えるという技法のマスターという方法論になるのであろうと感じます。
この方法に近いのが、昨年まで田中将大の同僚であったカープ黒田博樹が実践しています。
相手の傾向を把握し、投げるさいに相手を見て投げるという方法です。
これは正直、そのレベルに達した人でしかできません。
ですが、それができるだけの心技体を持っているのが田中将大であると言えます。
ですので、そういった方向とケアを継続していけば、今シーズンも活躍するはずです。
まとめ
投手というのはプロ野球の花です。
そして1球の失投が勝敗を決める厳しいポジションです。
そして壊れる可能性が、つねにつきまとう厳しいポジションです。
その頂点に立つ田中将大が長く活躍するためには、黒田博樹的バージョンアップが必要だと考えられます。
マー君ならきっと気づくはず。
それを信じて応援しましょう!
今シーズンもマー君の活躍を期待しましょう!